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TOPスタッフブログ自然素材の家の原価とコストダウンのポイント。実例を元に徹底解説。

自然素材の家の原価とコストダウンのポイント。実例を元に徹底解説。

2023.4.7

「自然素材の家、どうやってコストを下げられますか?」


当社で家を建てる施主さんからこの質問をよく受けます。ハーフビルドにせよフル施工にせよ、お客様は無垢素材だけで作る素朴な住宅、冬暖かく夏涼しい、地震にも強い住宅を求めて当社を訪ねて来られます。


しかし20年前と比較すると所得は僅かしか増えていないのに住宅建築費は20%以上増加しています。みなさんコスト削減に関心を持たれるのは当然です。


この連載では、当社の施主さんが実際に負担した建築総コストを細かく分解し、建材や設備の原価はいくらなのか、職人さんの人件費はいくらなのか、ハウスメーカーや工務店は利益をいくら取っているか、あえて丸裸にしして徹底に踏み込んで解説しいきます。ご興味のある方はどうかお付き合いください。


 


モデルケースの紹介


今回はモデルケースとして、当社が昨年栃木県那須町で建てたK様邸をご紹介します。



この住宅は完全自由設計で建てられた床面積25坪の平屋です。3LDKの間取りで、34平米のリビングルームと14平米のダイニングキッチンがあり、4人家族でも快適に利用できます。


 


注釈:本ケースは弊社の主工法であるハーフビルド(室内造作を施主自作)ではなく、すべて職人さんが手がけたフル施工請負の注文住宅です。ハーフビルドについて詳しく知りたい方はこちら



実際の設計図面。床面積には含まれない38平米の広いウッドデッキがあります。そのうち半分は屋根のついたカバードポーチデッキとなっており、広すぎず適度な広さを持つ住宅です。


100%自然素材での建築


K様邸は当社の標準仕様である100%自然素材で建てられた住宅です。外部も内部も漆喰と無垢の木だけを使用し、職人さんが手作りしています。


具体的には、外壁は米杉板張りで、木製ペアガラスサッシや木製のドアが使われています。室内の床と天井は全て無垢板張りで、壁は左官屋さんの漆喰左官塗り仕上げとなっています。塗料には健康に良い自然塗料が使用されており、石油系塗料は一切使われていません。



基準を上回る住宅性能


この住宅は断熱性や耐震性などの性能も優れています。本邸(栃木県那須町)が所属する断熱区分4地域よりも寒い3地域(青森県など)で求められる断熱性能値UA値0.56をクリアしています。また、地震に対する強さは最高等級である耐震等級3をクリアしています。つまり、暖かく快適で地震にも強い住宅です。



当社の標準仕様の断熱材ペットウールを充填した壁と天井



総コストは2707万円。コストの内訳は?


この注文住宅建築のために施主さんが負担した総建築コストは2,707万円でした。水回り設備や薪ストーブや浄化槽工事、外構工事(ウッドデッキ、駐車場)、消費税も含んだコミコミのコストです。それぞれのコストの内訳を見てみましょう。



建物の原価と内訳


下のグラフをご覧ください。青い部分が木造の建物の原価で総額1524万円、全体の55%を占めています。ちなみに原価とは工務店(当社)が外部に支払った材料費と工事費及び職人人件費のことで工務店の利益は含みません。


この建物原価はグラフに示すように以下の3つに分かれます。


 


①木材・建材・窓ドアなどの建材仕入原価


②その木材・建材・窓ドアを施工する外部工事費 基礎工事、柱や梁などの躯体を組み上げる躯体木工事、屋根工事、外壁工事


③室内工事費 大工さんが室内の断熱材入れから始まって天井床壁を作るまでの室内木工事、左官屋さんが壁に漆喰左官塗りをしたりタイルを貼ったりする左官工事費、塗装屋さんが塗装仕上げをする塗装工事費


設備の原価と内訳


次にオレンジ色の建物附帯設備の原価420万円には給湯器、キッチン、浴室、洗面室、トイレ、エアコン、薪ストーブ、照明器具などのいわゆる住宅設備の仕入れコスト(合計233万円)と、それを施工する水道設備工事店、電気工事店へ支払った工事費187万円が含まれます。「家のハコ」に水回りの設備や電気設備のインフラがオンされ電気水道が通って初めて「住める家」になります。



設計料・申請費の内訳


設計料・申請費212万円には意匠設計のための設計士の人件費、工事に必要な詳細な構造図面を作成する費用、建築確認申請費用、完了検査費用、瑕疵担保責任保険料、工事火災保険料などが含まれており当社の報酬(粗利益)となります。この費用は建物の設計や法的手続きに関わる重要な要素であり、建築プロセスを支える役割を果たしています。



※写真はイメージです。実際のものとは異なります。



総建築コストは大きく、「建物・設備の原価」「当社の報酬」「消費税」の3つに分けられます。税別総コストのうち原価は89%、当社の利益となる粗利益は11%になります。参考までに大手ハウスメーカーの有価証券報告書で公表されている粗利益率は22%〜28%くらいです。


「ハウスメーカーや工務店は大きな利益を乗せて売っている。」とおっしゃる方が時々います。確かにハウスメーカーは莫大な広告宣伝費、本社経費がかかっているため高い粗利益率で販売しますが、我々のような中小工務店の粗利益率はハウスメーカーの半分以下です。自由設計で自然素材の家を建てるには設計をスタートして完成まで約1年を要する仕事であることを考えると、11%の粗利益は決して過大な儲けではないと私は考えていますが、皆さんはどうお考えでしょうか。


 


自然素材の家のコストは床面積が大きく左右する


K様邸の建築総コスト内訳が明らかになったので今回の本題である自然素材の家でのコストダウンの話に入っていきます。グラフの青い部分 − 「建物の原価」は家の大きさ(床面積)に比例して増えます。いわゆる変動費です。一方、グラフのオレンジ色から上の部分は家の大きさにあまり関係なくほぼ固定的に係る固定費です。床面積20坪の家でも40坪の家でも同じように浴室、キッチン、トイレ、洗面、給湯器、浄化槽が必要となります。設計料、申請費も家の大きさには関係なく固定的に係ります。よって建築コストを大きく節約したいのであれば、まずは家の大きさ(床面積)を縮小することが最大の課題といえます。



まとめ


今回は「住宅建築コスト解体新書」の第1回目として、注文住宅の建築コストの内訳を紹介しました。


次回以降では床面積を縮小する以外のコスト削減策、つまり建材や設備の仕様を変えたり、職人さんの仕事を施主自身で賄ったり(ハーフビルド、セルフビルド)、契約方式を分離発注や施主支給設備にしたりする方法でどのくらいのコストダウンが図れるかについて見ていきたいと思います。


 

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