キャンプの達人の建築記録から多少脱線しますが、コールマンランタンで人生を語るという、なんとも粋な趣味人油井昌由樹さんが雑誌Free&Easy2013年7月号に寄せたコラムを紹介したいと思います。油井さんはもう３０年以上の昔、私がまだ学生の頃、雑誌POPEYEに常連で出ていた伝説のアウトドアショップ「スポーツトレイン」のオーナーです。コールマンもＬＬビーンもエディーバウワーも、まだ日本に正規には輸入されていなかった頃から、油井さんはわたしたちに、それらアメリカ製のキャンプグッズやアウトドア衣料のすばらしさを教えてくれた、いわばMadeInUSA Outodoorlifeの先生でした。そんな油井さんが書いた、「コールマンの２００Ａが照らし出す世界で生きていく、それくらいがちょうどいい。」という粋なキャッチコピーのコラムを目にし、またコラムをじっくり読んで、久々に私の心の中にすがすがしいメッセージが響き残りました。油井さんがこのコラムで言わんとしたことは、ネットで何でも情報が手に入る今の世の中は世界が広すぎる、もっとシンプルでいいじゃないか、コールマンのランタンが照らし出す世界くらいで十分じゃないか、ということ。確かにキャンプは不便さを楽しむはずのものなのに、昨今のネットの世界では、快適なキャンプのハウツー情報が溢れています。やっぱなんか、おかしいですよね。快適なキャンプを語れるよりも、ランタンで人生を手短に語れる、そんな油井さんのような老人になれたらいいなと、このコラムを読んで思いました。