家は人生の表現の仕方 − 茨城県山口様邸

2023.7.18

山口さんとの出会い

山口さんはこれまで当社ﾊｰﾌﾋﾞﾙﾄﾞされた施主さんの中でも最も印象的だった施主さんの一人です。

2013年に当社事務所を初めて訪ねて来られた時、山口さんは「自分は庭作りがﾗｲﾌﾜｰｸなので庭の背景になる家を作りたい」とおっしゃったのを記憶しています。「若いのに庭づくりがﾗｲﾌﾜｰｸとはすごい人だ」が第一印象でした。「庭の背景になる家ってどんな家ですか？」と聞くと山口さんは「青木さんのご自宅も庭が素晴らしく、また家が庭の背景になっているじゃないですか。」と。私と趣味感性が似ていたのでしょう、山口さんが作ろうとしている家と庭のイメージがすぐに理解できました。

庭を眺めるために作ったｱｳﾄﾄﾞｱﾀﾞｲﾆﾝｸﾞ、「我が家の一等地です」と山口さん

庭を中心に動線を設計した家

その後の山口さんのと家の設計打ち合わせでも山口さんの世界観は独特でした。庭で過ごす時間が大半なので土足で家の中を縦断できるように、との希望に沿って北側の玄関土間から南側の庭に面したウッドデッキに至るまでの長い土間を動線にしました。2014年春から本格的にﾊｰﾌﾋﾞﾙﾄﾞが始まりおよそ1年で完成しました。その後も山口さんのお宅を訪問するたびに庭がどんどん出来上がっていくのを目にして、山口さんご夫妻の庭への想いがひしひしと伝わってきました。

白いTシャツが山口さん、庭の成長とともに渋い男に成長されてました。

5年ぶりの訪問で分かったこと

今回撮影と取材で山口さんのお宅を5年ぶりに訪問しました。敷地に入ってまず周りの世界とは隔離された別世界が目に飛び込んできました。庭と家が完全に調和した空間は私が23年前にイギリスの片田舎で見たｲﾝｸﾞﾘｯｼｭｺﾃｰｼﾞｶﾞｰﾃﾞﾝと全く同じ世界、いやそれ以上かもしれない、草花が幾重にも咲き乱れるﾅﾁｭﾗﾙｶﾞｰﾃﾞﾝとそこに佇む古民家、山口さんの庭と自宅は5年の間で物凄いところに到達していました。家の外壁のﾚｯﾄﾞｼｰﾀﾞｰ板壁は経年変化で実に渋いｼﾙﾊﾞｰｸﾞﾚｲになっていて、その渋い家が庭を味わい深く引き立てています。山口さんに10年前に初めて会った時に言われた「庭の背景になる家」の意味が理解できました。「家は人生の表現の仕方」を証明してくれた山口さん、人生の勉強になりました、ありがとう。