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那須土地探しケーススタディー その2 私道

2024.1.24


「実際に道路は存在するが公図上には道路が無い。」こんなケースが那須の分譲地には多くあります。道路の両側の所有者が所有している「私道」です。その私道に面した土地(661-9)を購入したいがどうか?とお客様から打診されたケースです。





これが購入検討した土地661-9の公図です。前面道路は公図上で出てきません。




建築できる私道か?


まずその私道が建築基準法上の道路かどうかを調べます。那須町の土地であれば大田原土木事務所の建築指導課に行って道路台帳を閲覧して「道路位置指定が取れた道路かどうか」を調べます。調べた結果、道路位置指定のある道路と分かったので最初の関門はクリアしました。



私道に水道が埋設されているか?


次に水道を調べます。町営水道は手前の県道には通っているが661-9の前面道路の私道には通っていませんでした。分譲地水道があるかどうかは、分譲地の管理会社に行って聞き取りします。その結果、分譲地水道もこの私道にはありませんでした。

よってこの土地に建物を建てるには手前の県道から町営水道を敷地まで引き込む必要があります。那須町水道課に行って聞き取りをすると「引き込むことは可能」との回答でした。この結果、水道引き込み費用を負担すれば、「661-9に建物は建つ」と考えられます。


「私道を掘る」承諾が全員から取れるか?


しかし実際に水道引き込み工事をするとなると、私道を掘削して水道管を埋設する工事が必要となり、その際に私道の所有者全員の承諾を取り付ける必要があります。このケースでの私道所有者は、653-27、653-35、661-10、661-11、661-12の5人になります。5つの土地の登記簿謄本を取り寄せて、それぞれの土地所有者の住所と名前を割り出し、「水道引き込みのための道路掘削承諾依頼書」を郵便で送りました。その結果、653-35の所有者からは返信が無く、661-10の所有者に送った郵便は「宛所不明」のスタンプが押されて戻ってきました。登記簿上の住所にその土地の所有者は存在しないということです。転居したのか、既に死亡しているのか、現在の法制度下では個人が民事としてこれ以上詮索することは不可能なので、町営水道の引き込みは断念せざるを得ません。結果的にこの土地の購入はキャンセルすることになりました。



土地の価値が低い田舎では土地所有者が行方不明というケースはよくあることです。私道であるがために、今回のように水道が引けないという問題だけでなく、道路や水道管の補修もできないといった実にナンセンスで腹立たしい問題が多く見られます。国、自治体の土地私有制度に対する改革が待たれるところです。


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