時代は再びヘビーデューティー vol.2
2015.4.30
「ヘビーデユーティー」(以下HD)という言葉に私が最初に触れたのは、大学1年の時、関学生協書籍部で小林泰彦さんの書いた「ヘビーデユーティーの本」を手にした時だったと記憶しています。
小林さんは元々、IVY(アイビー)専門の服飾雑誌「Mens’ Club」(通称メンクラ)やpopeye(ポパイ)などに、アイビーやアウトドア系ファッションのイラストを描いていたイラストレーターでした。そんな小林さんがHDという言葉を日本に紹介したこともあって、HDはアイビーに近い流派のファッションスタイルという位置づけが当時の日本では一般的だったと思います。
かたや本場アメリアでHeavy Dutyといえば、アウトドアでの遊びや仕事を快適に楽しむための「丈夫で質実なモノ」にフォーカスしたライフスタイルでありワークスタイルが前提としてあります。
いまでこそ日本でもキャンプ、トレッキング、渓流釣りとアウトドアライフが定着していますが、70年代当時、山岳地帯が国土の8割を占める日本で屋外活動(=アウトドアライフ)といえば登山しかありませんでした。HDアイテムが本来最も活躍する場所はキャンプやトレッキングに向いた山野、つまりフィールドです。険しい山ばかりでフィールドの無い日本では、HDアイテムが本来的に活かせる場所と機会はありませんでした。日本でHDが都会のアスファルトの上を歩くためのファッションに化していったのは、そんな背景があったんじゃないかと思います。