若者諸君、田舎で暮らそう 第4話
2014.9.13
「田舎くらしは飽きないか?」と聞かれると、正直返答に困ります。
都会のように映画、コンサート、買い物、食事、飲み会といった余暇の機会は、正直相当限定されます。
情報や刺激や人的交流も乏しいので、ひとり遊びができない人はすぐに飽きて都会が恋しくなるようです。
我が家の近所にも、田舎暮らしに飽きて3年ほどでUターンしたご家族もいらっしゃいます。
幸い私は、アウトドア系のひとり遊びが好きな方なので、都会が恋しくなって帰りたいと思ったことはありません。
冬は薪割りと漬物作り、春は冬の間折れた森の枝を集めて焚き火しながらホットウイスキー、夏は芝生を奇麗に刈った庭でバーベキュー、秋は山のような落ち葉を集めて落ち葉焚きと干し柿つくり等など、野良仕事を兼ねながらいろんなひとり外遊びを楽しんでいます。
ですが、ときどき東京へ出て、新橋のガード下で友人と飲んだり、伊勢丹で買い物をしたり、アメ横を散策したり、好きなアーティストのコンサートへ行ったりしないと、アンテナや感性が錆ついてしまうんじゃないかという強迫観念も、常に持ち合わせています。
東浩紀さんという若手の思想家が書いた「弱いつながり」(幻冬舎刊)という思想本を最近読みましたが、その中で東さんは「ネットで欲しい情報、興味のある情報が手に入る現代では、個人の関心事や交友関係はどんどん狭まってしまう。自分を成長させるには、現在のつながりとは離れたところにある異質なノイズに触れることが大事。そのためには旅することが重要だ。」と述べています。
ときどき「都会に旅に出る」ことで、田舎にはないノイズが自分の中に生まれる、そんな気がしています。