東北道上り車線、午前6時
2016.12.20
今年2016年を振り返り、私の仕事や生活を通して心にしみた出来事を、シリーズでたどってみたいと思います。
我々の建築現場は朝8時から仕事が始まります。
現場が遠い時は、午前6時前に東北道那須インターのゲートを通過して東北道上り車線に入ります。今の時期(12月)、午前6時はまだ夜明け前です。
そんな薄暗い高速道路を東京方面に向かって走る車には、東北の人達のせつなく暖かいドラマが垣間見れます。
福島ナンバーの中古の軽に乗った30代の4人家族。お父さんの久々の休日に日帰りでディズニーランドにでも出かけるのだろうか。決して裕福そうには見えないけれど、朝早くから家族総出で日帰り旅行する嬉しそうな子供さんの顔が目に焼きついた。いまどきの子供さんのようにゲームをすることなく、運転するお父さんの肩に頭を乗せて、ほんとに楽しそうだ。
岩手ナンバーのトラックは牛を積んでいる。和牛だから東京近郊の食肉処分場へ連れて行かれるんだろう。東北道上り車線で目にする牛を積んだトラックを追い越すたび、かならずそのうちの一頭の牛と目が合う。その目は寂しさをたたえながら何を私に訴えているようだ。
「君たちはこれから殺されに行くんだね。」と語りかけてみる。東京に住むグルメなお金持ちに是非見てほしい、この死にゆく前の牛たちの目を。トラックを運転してる老夫婦は、牛たちを育てた酪農家だろうか、黙して進行方向をみています。
午前6時半、車線の左手、東の八溝の山からのぼる朝日が眩しい。
さてきょうも仕事がんばるべか!