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TOPスタッフブログ薪作りは人生勉強だ

薪作りは人生勉強だ

2017.1.2


あけましておめでとうございます。


昨年中はハーフビルドホームのHPとこのブログをご覧いただきましてありがとうございました。


 私の那須での田舎暮らしも今年で17年目を迎えます。17年間、那須山の麓の森の中で暮らしてきて学んだことは、一言で言うと自然界の摂理です。自然界には無駄なものが存在しない、全ての木々草花、生物、雨、風、台風、どれをとってもそれぞれに役割や存在意義がある、害虫だとか災害だとかゴミといった概念自体が自然界では存在しない、これが自然界の摂理です。

 そこで、今年最初のブログは「薪作りは人生勉強だ」と題し、薪作りという田舎ならではの野良仕事を通して自分と向き合いながらつれづれと考えてきた人間観、世界観についてお話ししたいと思います。


 今朝元旦の日経新聞をめくって目に飛び込んできた記事は、今日から連載が始まる日産社長カルロス・ゴーンさんの「私の履歴書」でした。今日から一ヶ月間、ゴーンさんが自らの半生を綴っていくのですが、彼のパワフルでブレないリーダーとしての発言行動をいつも尊敬の念で見てきたので、これからの一ヶ月間は日経新聞を毎朝開くのが楽しくなりそうです。


 その第1回目の私の履歴書の中で彼はこう述べています。「アイデンティティーを失わずに多様性を受け入れることが今のグローバル時代を生き抜く上で最も大切だ」と。


 この一文を目にした時、先月作った樫の木の薪のことを思い起こしました。その薪は普通に広葉樹の丸太を使って作った薪ではなく、家具などの使われる樫(かし)の木を製材する際にでるバタ材です。バタ材とは丸太の中心部分を木材製品用にとった後にでる周辺の皮付きの部分の切れ端のこと。つまりは規格に合わないハンパモノがバタ材です。杉やヒノキのバタ材はチップに粉砕されて製紙用に再利用されますが、樫の木は固すぎるため製紙用チップには不向きで、そのため薪の見た目を気にしない薪ストーブオーナーが安値で引き取るくらいしか活路はありません。

  その樫のバタ材を斧で割って薪にしてストーブで燃やしてみて実感したことは、太い薪も、細い薪も、まっすぐな薪も、曲がった薪も、どれも無駄なく使えてゴミが一切出ないということ。しかも薪ストーブは石油や電気のストーブと違って火力の調整が難しいのですが、大小様々な形の薪があることで炉内の炎の調整を容易にしてくれます。使えそうにない薄っぺらな樫の木の皮の部分でさえも、着火時点の焚きつけ材として最適です。しかも樫は字のごとく硬い木なので、じっくりと長時間燃え続けてくれます。樫という木のアイデンティティー(-特徴)を活かしつつ、多様(=雑多)な切れ端すべてが働く場を与えられている訳です。

規格に合う合わないは人間が勝手に決めたことで、自然界では何物においても役割があって無駄は無くゴミも出ない。そんな自然界の摂理を分かりやすく教えてくれたのが、この樫の木のバタ材でした。



世間の常識、つまり「世の中の規格」に合った人のことを常識人と言います。モノや商品で言えば、生産・流通・販売の効率に合ったモノは規格品と呼ばれます。


 その逆の人やモノはハンパもんとか、変わりもんと呼ばれます。漢字で書くと半端ですから、満たない(半分)とか端(はし)っこというニュアンスを含んでいます。


人間界では、規格外といって大量に破棄される商品や農作物が山のようにあります。人に関しても同じで、会社や社会や学校の決めた規格に合わないことでドロップアウトしてしまう人を私の周辺でも沢山見てきました。


 自分で考えて他人と違う行動をとる人や、癖があって一筋縄ではいかない人は、特に日本の社会では出る杭として生きにくいのは昔も今も変わりないようです。若い人が都会から地方の僻地へ移住したいと漏らすと、変わりもんと呼ばれます。「自分で家をつくる。」と周りに話すと、変わりもんと呼ばれます。


しかしそんな世間の常識という規格に合わない人の方が、実は底力があって普通の人が考え及ばないアイデアと方法で成果をあげるものです。節があって曲がって癖のある木のほうが、長くゆっくりと燃えていい働きをするのと底通しています。

逆に節の無い素直な薪は見た目は綺麗ですが、いざ高温の過酷な炉の中に入れられるとあっさり燃え尽きて役に立たないことが多いものです。同じように、素直すぎる人は過酷な組織や社会では生き残れないことが多いのではないでしょうか。

先のゴーンさんの発言の中にあったアイデンティティーという言葉を「個性」と読み替え、多様性という言葉を「ハンパもん、変わりもん」と読み替えれば、グローバル時代の処世訓が実は薪から私が学んだ自然界の摂理に通じるものがあるんだな。。
新年にあたり、こんなこと思い至りました。

今年もハンパもんらしく走り続けます。よろしく!



我が家の薪小屋です。手前に無造作に積まれたのが樫の木のバタ材から作った「不揃いの薪たち」。奥に積んであるのがナラの丸太から作った普通の薪

我が家の薪小屋です。手前に無造作に積まれたのが樫の木のバタ材から作った「不揃いの薪たち」。奥に積んであるのがナラの丸太から作った普通の薪



 


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