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TOPスタッフブログ家の歌その3 「サードベース、ドジャースタジアム」

家の歌その3 「サードベース、ドジャースタジアム」

2014.8.7


ライ・クーダー 「3rd Base Dodgers Stadium」 2005年


Mister, you’re a baseball man, as anyone can plainly see.
The straightest game in this great land. Take a little tip from me.
I work here nights, parking cars, underneath the moon and stars.
The same ones that we all knew back in 1952.
And if you want to know where a local boy like me is coming from:
3rd base, Dodger Stadium.
2nd base, right over there. I see grandma in her rocking chair. Watching linens flapping in the breeze, and all the fellows choosing up their teams.  (あと省略)

<和訳>
そこ行くだんなさん、あなた、見るからに野球選手だね。
今晩、ここでの(ドジャーズ・スタジアム)ゲームは最高にいい試合だった。
でも、ちょっと、俺の話も聞いてくれないか。
俺はこの駐車場で夜働いているんだ、月と星のもとでね。
そうそう、1952年当時も、ここの夜空は同じ月と星だった。
何を隠そう、少年の頃、俺の家はこのドジャーズ・スタジアムの3塁ベースのあたりにあったのさ。
あっちの2塁ベースには、グランマがロキングチェアーに座ってリネンのカーテンが風に揺れているのを眺めている姿が、俺には見えるよ。 (あと省略)


家をつくることの幸せについて歌った曲は多いのですが、これは家を壊されて不幸になった人の歌です。1950年代のアメリカ西海岸L.A.、そこにあったチャヴェス・ラヴィーンというヒスパニック系コミュニティーが、時の共和党政権によって強制的に取り壊され、その跡地には大きな野球場ドジャーズ・スタジアムが建設されました。

当初その跡地には低所得者のための公共住宅の建築も計画されたそうですが、ニクソンをはじめとする保守系共和党議員の反対にあい、住宅計画は頓挫。かわって建設されたのが、ユダヤ資本が政治家を動かしてできたドジャーズ・スタジアムだった、いう実話に基づいた歌です。


ライ・クーダーは、映画「パリ テキサス」の主題歌を演奏したカントリー・ブルース系のギタリストで、キューバ音楽を世界に知らしめた映画「ブエナ・ヴィスタ・ソシアルクラブ」の出資者兼プロデューサーとしても知られています。

彼が古い時代のLA写真展でたまたまチャヴェス・ラヴィーンの悲劇を知り、なんとか後世に伝えようと自費で作り上げたアルバムが、「CHAVES  RAVINE」(2005年)です。彼名義のアルバムですが、ヒスパニック系の多くのミュージシャンをゲストに迎えて作った作品で、この「3rd Base Dodgers Stadium」を歌っているのも、ハワイアンミュージックのブラ・パヒヌイです。(ブラはハワイアンミュージックの父ギャビー・パヒヌイの息子です)

ブラのちょっとしゃがれた説得力にある歌声が、この歌の背景にある悲惨な情景を、じつにしっとりと描き出しています。曲の最後のくだりで、「でも、俺もベースボールが大好きなんだ」と、こぶしをきかせて歌うところは、何度聴いても泣けてきます。夏の夕暮れ時に似合いそうなスローなハワイアン・アコースティック・バラードなので、詩の内容を知らずとも心地よく聴けると思います。

またアルバムは、ヒスパニック、カリビアン、R&B、ジャズのリズムが融合し合いながら、ライ・クーダーが一曲一曲丁寧に作った魂の音楽(ソウル・ミュージック)が目白押しで、「ブエナ・ヴィスタ」でキューバ音楽に取りつかれた方には、是非おすすめしたい一枚です。



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アルバムジャケット表面は、社会的メッセージを込めた作品らしくとても辛辣です。裏面には、かつてチャベス・ラヴィーンにあったヒスパニックの人たちが実際に住んでいた家の外観と間取り図が描かれています。


 


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